先天性心疾患の娘を持つ親として
初めにノンちゃんがお腹にいる頃に、彼女が先天性心疾患だと分かって僕も奥さんも泣いてました。
特に奥さんは。
まずは、この子に申し訳ないっていう気持ち。
〝五体満足〟に産んであげられない悲しさや〝ノンちゃんをこの先どうやって育てていこうか〟という不安。
あげたら切がないくらいたくさんありました。
でもね、お腹が大きくなっていくにつれてそんな不安はあるけど嬉しかったし、楽しみだった。
そんな中、日記にも書いたけどノンちゃん産まれた~。
ノンちゃんの顔見たら、不安が少し吹っ飛びました。
だって彼女は今ここにいる。
そんな時、奥さんがNICUで言いました。
〝ノンちゃんのお胸がキレイな時に写真撮っておこうよ!〟
そうなんです、オペや治療の説明は事前に受けていたので、オペの傷跡が残る前のキレイなお胸、写真に残しておきたかったんです。
今でもその写真は、ノンちゃんのアルバムに貼ってあります。
そうやって少しづつですが、悲しさや不安は時間と共に消えていきました。
だけどね、また次の不安が出てくるんです。
それが消えたたらまた次の不安。
これは永遠に続くのかなぁって思ったらまた悲しくなりました。
けど、主治医の先生方に言われた事。
〝今を生きるんです〟
ドラマや映画ん中では出てくる言葉かも知れないけど、こうやって面と向って言われたのは初めてだからこの〝今を生きるんです〟って言葉の意味合いが正直分かりませんでした。
けど、このかのオペや治療が進むにつれて、その意味合いがはっきりと僕らの中で分かりました。
ノンちゃんは今を生きているのであれば、僕ら親も今を生きないと。
ちょうどノンちゃんが産まれてまもなく、僕は今の仕事を辞めようと思ってました。
〝こんな状況の中でこの仕事は続けていけないし、この先どうなるか分からない状況の中、お店はやれない〟
そんな話を奥さんにした時に言われました。
〝辞めたかったら辞めてもいいよ、だけど私は今の仕事を続けて欲しい。だってあなたの創るヘアスタイルが大好きで来てくれているお客さんが悲しむよ。私だってあなたの創るヘアスタイルのファンだから。〟
と言ってくれました。
それから、〝ノンちゃんのせいで大好きな仕事辞めるなんてダメでしょ?もし辞めてしまってノンちゃんがこの事しったら、のんちゃんも悲しいんじゃないかな?〟
そう言われて目が覚めました。
僕自身も奥さんや長女にも好きな事を仕事にして欲しいって言ってるし、大好きな仕事なら続けて欲しいって思ってます。
それを逆に奥さんから言われました。
だから今も、その大好きな仕事とサロンを続けています。
確かにノンちゃんが産まれて1年間くらいはサロンを早めに閉めたり、3日休むなんて当時では当たり前で仕事が本当にできませんでした。
もちろんそれと、いろんな事情で離れていったお客様もいらっしゃいます。
けどね、そんな中でも詳しい理由も聞かずに時間をずらしたり、日にちを変更してもらったりしてくださってご来店されて頂いたお客様もいらっしゃいます。
本当にありがたかったです。
その事は一生忘れないし、感謝しかありません。
それから、ノンちゃん産まれてから親戚や友達にはノンちゃんの事話してません。
正しくは、話せなかったです。
当時は、この先ノンちゃんがどうなるか分かりませんでしたから詳しい事は僕と奥さんの両親しか伝えませんでした。
本当なら、産まれたらすぐ写真いっぱい撮って友達や家族、それからSNS使って投稿したりしますよね。
それからたくさんの人達に〝おめでとう!〟って言葉も言ってもらったり、お祝いいただいたり。
ノンが産まれてからの状況で僕らには、そんな事が一切できませんでした。
それは、まだその先の不安があったからなんです。
〝もう大丈夫だよ!〟
ってある程度治療が進んだら伝える事にしてましたから。
それでも少ないかも知れないけどお祝いの言葉をいただきました。
初めの1年間はほとんどが病院に入院、治療をしていたのでノンちゃんと他の人が写っている写真はありません。
その分、僕たちみんなで映っていたり、ジィジやバァバと一緒に撮った写真は山ほどあります。
それで十分でした。
本当に生まれてからの2年間は、正直に言いますけどしんどかったです。
本気でしんどかった。
叫べるもんなら叫びたいくらいでした。
〝今を生きる〟
今を共に生きることで、子供と過ごす時間が増えます。
過ごす時間が増えると喜びも悲しみもみんなが同じになります。
明日の事を気にするくらいなら、今を一生懸命に過ごす方がいいんです。
子供と過ごす時間、1分1秒無駄にはできないです。
一緒に過ごす時間が長ければ長いほど、たくさんの事を共有できます。
その笑った笑顔は、明日は見れないかもしれない。
その泣きじゃくった顔は、明日見れないかもしれない。
その時、その瞬間しかないんですよ。
それを見逃さないように全て記憶に刻み込みます。
もちろん余裕があればデジカメで。
NICU、 ICU やHCUは、スマホのカメラ禁止ですからね~。
デジカメならOKです。
それから、〝今を生きれたら今度は共に生きること〟。
それには少し時間がかかりますけど、ノンちゃんが抱えている病気を受け入れなければ一緒に生きていけません。
それは、これからのノンちゃんもそうです。
きっとそれはこの先、〝ノンちゃんと共に生きたいという人〟が現れた時は役目は終わりですね~、きっと。
でもその前に自分の事は自分でできるように自立を促がしていかないといけないですね。
順番でいうと、僕の方が先に逝きますから。
でも、
未だに、
ノンちゃんには甘いらしいです。
今でもよく奥さんに言われます(笑)